歯並びに大きな乱れがない場合、矯正治療を行うべきか、補綴物治療で対応するべきか迷われる方は少なくありません。
特に、見た目の問題が「歯のすき間」だけに見える場合は、どの治療が適しているのか判断が難しいことがあります。
今回ご紹介する症例では、
・上下前歯のすき間(すきっ歯)
・口元の前突感(いわゆる口ゴボ)
この2点を主訴として来院されました。
すきっ歯だけであれば、補綴治療という選択肢もあります。前歯のすき間や形を改善する場合、補綴物(被せ物やラミネートベニアなど)によってお悩みが解決する場合もあります。比較的短期間で見た目を整えることができるため、治療期間を重視する場合には良いでしょう。
しかし、今回のように口元全体の前突感がある場合は注意が必要です。
補綴治療は歯の形や大きさを調整する治療であり、歯の位置を後方へ移動させることはできません。
そのため、口元の突出感を改善することは難しい場合があります。

【初診時】

上下前歯のすき間だけでなく、前歯以外の左右にもすき間があることが確認できます。
【治療中】
歯の大きさやすき間を考慮した結果、抜歯を行わなくても前歯を後方へ移動させるスペースが確保できると判断しました。すきっ歯(空隙歯列)の症例では非抜歯で対応できるケースが多く見られます。※症例によります。以上を踏まえ、本症例では非抜歯によるブラケット矯正治療を開始しました。
【治療終了時】

前歯全体を後方へ移動させることで、歯のすき間を閉じるだけでなく、歯の位置も整い、口元のバランスが自然な印象になりました。

すきっ歯の治療では、
- すき間のみを改善したいのか
- 口元の突出感も改善したいのか
によって、適切な治療方法が異なります。
特に、口元の突出感が気になる場合には、矯正治療が適していることがあります。ご自身では判断が難しいこともありますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
<初診時>
●主訴
上下の前歯のすきっ歯が気になる。口元全体が出ている。
●診断名あるいは主な症状
空隙歯列を伴う上下顎前突
●年齢
32歳
●治療に用いた主な装置
セラミックブラケット
●抜歯部位
なし
●治療期間
約1年
●メンテナンス頻度
月1回
●治療費用(税込)
約1,100,000円
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)
日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

