今回は顎間ゴムについて説明していきます。
矯正治療において顎間ゴムでの処置は歯並びを整えるために重要な役割をもちます。

【顎間ゴムとは?】
顎間ゴムは片側を上顎の矯正装置に、もう片側を下顎の矯正装置にひっかけて使用します。
ゴムが引っ張り合う力を利用して、歯並びのずれを整えていきます。
強制力はゴムの太さやリングの直径でも異なります。
以前、他のブログでも書いていますが、東京オリンピックの体操女子種目別床運動で銅メダルを獲得された村上茉愛選手がオリンピックの競技中も顎間ゴムをかけていたことが印象的でした。
該当ブログはこちら>>矯正歯科治療中のオリンピック選手たち

上顎と下顎のどこの位置にゴムをかけるかによっても作用がことなります。
少し専門的な話になってしまいますが、ゴムの掛け方の種類を記載しておきます。

■顎間ゴムの掛け方による作用の違い
<Ⅱ級ゴム>
上顎前突症例(出っ歯)に用います。下顎の大臼歯部のあたりから上顎の犬歯部あたりにかけて、上の前歯を奥に引っ張るように作用させます。

<Ⅲ級ゴム>
下顎前突症例(受け口)に用います。上顎大臼歯部のあたりから下顎犬歯部のあたりにかけて、受け口の状態を奥に引くように作用させます。

<垂直ゴム>
上下歯列間に垂直にかけます。開口のように上下の歯が開いた状態を閉じていくように作用させます。

<交叉ゴム>
交叉咬合症例(クロスバイト)に用います。上下の同じ歯の内側と外側にクロスするようにかけて、上顎と下顎の左右のずれを整えるように作用させます。

【顎間ゴムの使用方法】
顎間ゴムは患者さんご自身でかけていただく必要があります。
毎日交換も必要です。
そのため「めんどくさいな」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
当院の患者さんからもそういった声を聞くこともあります。

しかし、この処置をしっかりできるかどうかで矯正治療が完了するまでの期間や、歯並びの状態に大きく影響します。煩わしく思うかもしれませんが、自分の歯並びをよりよくするために、頑張っていきましょう。